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【"科学的人事実践"の事例】社員意識調査(第1弾)


本記事では、社員意識調査の運用・実装方法について、
弊社がコンサルティング支援を実施した企業様の進め方を例にご紹介します。
※本記事で扱う社員意識調査は、半年に1回や年に1回ごとに全社員向けに実施する調査施策を想定しています

調査は大きく分けて3つのステップで進めます。
STEP1:仕様検討    (本記事でご紹介)
STEP2:アンケート運用 (第2段の記事でご紹介)
STEP3:分析検討    第2段の記事でご紹介)

ステップは3つに分かれておりますが、本記事では「STEP1:仕様検討」についてご案内いたします。

STEP1:仕様検討
仕様検討では、主に以下の内容を考慮します。
・設問設計
・属性設計
・回答者コミュニケーション

▼設問設計
タレントパレットでは、以下のテンプレート設問もご活用いただけます。
・社員満足度調査1・2
・業務の満足度調査
・TPOD(組織診断)


設問設計時に検討いただきたい観点は以下です。
・最終的に向上させたい目標設問を設定しているか(目的変数の観点)
・設問には当社が明確にしたい課題が含まれているか(説明変数の観点)

目的変数の観点では、エンゲージメントや勤続意向、生産性などの観点で、人事のKGI(Key Goal Indicators)に対応する指標を設定します
・あなたは当社への入社を友人に勧めるか(eNPS:エンゲージメント)
・あなたは当社へ今後も勤めていたいか(勤続意向)
・あなたは生産性高く働けているか(生産性)
など、経年にわたる調査で向上を定点観測するための指標を定めます。
また、目的変数が設定されていることで、目的変数自体を上げるための施策を検討する際の分析も可能になります。

説明変数の観点では、当社の課題を踏まえた設問が含まれているかを検証します
例えば、「残業時間が一部の社員に偏って多く、その原因を調べたい」という目的がある場合は、原因の洗い出しを行う必要があります。

洗い出しには仮説が必要で、以下のような自社独自の事情を踏まえた仮説を考慮して設問を作成します。
・担当顧客数が多いと残業が増えるのでは
・上司の部下数が多いと管理・フォローしきれず、部下の残業が増えるのでは
・ナレッジが標準化されておらず、資料を個別に作成するため残業が増えるのでは

明確にしたい課題があれば、事前に想定した原因の洗い出しと、その想定原因が設問として反映されているかの検証が必要です。

アンケートで聞く必要のない内容は省くことも重要です。例えば、給与制度を変えるつもりがないのに、「あなたは給与水準に納得していますか」といった内容は不要です。

設問の聞き方も工夫が必要であり、特定の原因を知りたい場合は1つの設問に1つの項目に絞ることが重要です。
先ほどの業務の標準化の設問を例にすると、標準化されていることと、活用されているかを同時に聞くような設問にしてしまうと、原因の特定ができなくなるといったイメージです。

また、主語も会社、部署、あなたなどによって基準が変わるため、原因を特定したい階層に合わせて設定します。
原則、“あなた“の個人の回答の積み上げで組織・会社の課題を特定しますが、ハラスメント設問など組織内で課題はないかという観点で調査したいのであれば主語はあなたの部署はという主語に変更します。

▼属性設計
ここでの「属性」とは、年齢や性別、部署、社員区分などのデータを指します。

前述の仮説を踏まえて、仕様検討の段階から、設問を属性別に集計することを検討しておくと、分析の段階で場当たり的な分析を避けることができます。
良い調査結果を得るためには、設問×属性の組み合わせでの分析が適切に行われることが重要です。

集計時は原則的に、男女の認識差や部署間の差、評価の差など、設問の平均値に差がある特徴的な属性を探し、課題を抽出します。

以下のような点を見ていくことで、施策の優先順位の高い特徴的な属性を抽出できます。
・男女で満足・不満の差はどこに出ているか
・評価の高い方は低い方に比べてどこに満足し、不満があるのか

また、課題抽出の際には、設問が属性となることもあります。たとえば、管理職希望の差について「ロールモデルの有無」という仮説がある場合、以下のような二つのアンケート回答をかけ合わせて分析します。
・あなたはロールモデルになる社員はいますか
・管理職になりたいか(どの等級まで昇格したいか)

ここでは、設問として設定した「管理職意向」を属性として分析します。

属性抽出の際に、議論になるのは属性別の回答者数です。この際に検討したいのは、匿名性の担保の観点と、何名程度の回答であれば意味があるかを検討することです。
匿名性については、例えば職群ごとの集計をする際に、自分が専門職であった場合にもう1名の専門職の点数を知りえた場合は、もう1名の点数も逆算して知ることが可能で、その場合は匿名性が担保されていません。
その匿名性担保のため、通常5名以上、保守的にするのであれば10名以上で集計対象とするというのが、ケースとして多いですが、会社の規模によっては属性別の人数も少ないため、3名以上で集計する場合もあり、こちらは検討いただく必要がございます。

また、統計的な有意性についても考慮する必要がありますが、社員意識調査はほとんどの場合全数調査が行われているため、回答率が100%に近ければ統計的な有意性は考慮しなくても良いとされています。回答率が高い場合、現在の社員の総意が反映されていると解釈されます。(経年や外部BMとの比較をする場合は有意性の検証は必要です)


▼回答者コミュニケーション
回答者へのコミュニケーションも重要です。アンケート回答する際に忖度なく本音で回答してもらうためには、以下の点を回答前に回答者にアナウンスすることが望ましいでしょう。
・調査の目的
・アンケートの機密性担保
(匿名・実名か、実名でも個人に紐づけて回答を見られる人は限られているか)
・アンケートの活用方法
(全社結果から人事施策検討・組織別に結果開示して組織開発ツールとして活用等)
・スケジュール(回答期間・結果開示時期)
・問い合わせ窓口


ここまでで、STEP1「仕様検討」についてご案内いたしました。
次の記事(第2段)では実際にタレントパレットの画面で効果的なアンケートを実施するための「アンケート運用」,「分析検討」のステップをご案内いたしますのでぜひお楽しみに!!
第2段の記事をご覧になりたい方はこちらからご確認いただけます。

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